講演レポート

バイエル薬品 養豚シンポジウム 2016
情報提供

「バイトリル®ワンジェクト注射液に関する情報提供」

バイエル薬品株式会社 動物用薬品事業部 マーケティング テクニカルサービス/青木俊介

高用量のワンショット投与を実現したバイトリル®ワンジェクト注射液

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スライド1:成分及び分量、効能・効果イメージスライド1:成分及び分量、効能・効果 スライド2:用法用量、使用上の注意イメージスライド2:用法用量、使用上の注意 スライド3:1回投与量イメージスライド3:1回投与量

 2016年10月に発売となった豚用のバイトリル®ワンジェクト注射液(以下、ワンジェクト)について、耐性菌への配慮と理論的な背景にもとづいて紹介したい。有効成分はエンロフロキサシン(ERFX)で、本品100mL中に10.0gを含有。効能・効果について、有効菌種はアクチノバシラス・プルロニューモニエ(App)、適応症は豚胸膜肺炎である。第二次選択薬として使用する。(スライド1)

 用法・用量は、体重1kgあたりERFXとして、7.5mgを頚部筋肉内に1回注射。なお、重症あるいは慢性の胸膜肺炎の場合で十分な効果が認められないときは、48時間後に再度同量を注射する。主な使用上の注意として、使用禁止期間は12日間。4週齢未満の豚、妊娠中又は授乳中の豚への投与は認められていない(スライド2)。

 ワンジェクトは体重10kgあたり製剤として0.75mLの投与となるため、バイトリル®5%注射液に比較し、1回投与量を25%減らすことができる。また、単回投与のため、豚のストレスと作業者の労力を減らすことができる(スライド3)。

アメリカでも豚のSRD治療薬として承認されているFQ薬

スライド4:豚胸膜肺炎患畜由来Actinobacillus pleuropneumoniae及びPasteurella multocidaのERFXに対する感受性イメージスライド4:豚胸膜肺炎患畜由来Actinobacillus pleuropneumoniae及びPasteurella multocidaのERFXに対する感受性 スライド5:バイトリル®ワンジェクト注射液投与後の血中薬物動態イメージスライド5:バイトリル®ワンジェクト注射液投与後の血中薬物動態 スライド6:ERFX感受性ディスクイメージスライド6:ERFX感受性ディスク

 バイトリル®使用履歴のある農場において分離されたAppとパスツレラ・ムルトシダのERFXに対する感受性について、隔年でモニタリング調査を行っているが、Appに対するERFXのMIC90は2007年以降0.25μg/mLと良好に推移している。また、パスツレラ・ムルトシダも良好な感受性が保たれている(スライド4)。

 ワンジェクト(ERFXとして7.5mg/kg)とバイトリル®5%注射液(ERFX として2.5mg/kg)の単回投与後の血中薬物動態を比較したところ、ワンジェクトのCmaxは約2倍に、TmaxおよびAUCは約4倍に到達している(スライド5)。AppのMIC90を0.25μg/mLのラインで見ると、Cmaxは6倍、AUCはおよそ120倍の大きさになっている。

 ワンジェクトはアメリカでも豚のSRD治療薬として承認されており、CLSIの感受性ディスク指標にはフルオロキノロン薬の中でERFXが豚で唯一掲載されている。CLSIにおける指標と2014年に報告された文献を考慮すると、豚の呼吸器病起因菌に対してERFXの阻止円の直径が23mm以上の時に感受性ありという評価になり、その時のMICは0.25ug/mL以下と判定できる(スライド6)。

PK/PD(薬力学/薬物動態学)から考えても有効な正しい選択

スライド7:PK/PD(薬力学/薬物動態学)から考える。イメージスライド7:PK/PD(薬力学/薬物動態学)から考える。 スライド8:PK/PD(薬力学/薬物動態学)から耐性菌発生リスクを考えるイメージスライド8:PK/PD(薬力学/薬物動態学)から耐性菌発生リスクを考える

 治療の成功指標として、キノロンに代表されるような濃度依存性の薬物においてはAUCとMICの比がグラム陰性菌で100を超えた時、グラム陽性菌で50を超えた時、またCmaxとMICの比が8~12を上回った時という報告がある。時間依存性の薬物においてはMICを上回っている時間が40~60%であることが成功指標になると、複数の文献で報告されている。ワンジェクトの有効性を薬物動態から考えた場合、MIC90を0.25μg/mLとした時に、肺のCmaxとMICの比が20.4。一方、AUCとMICの比は、血中および肺においても十分に目標値を上回っている(スライド7)。

 また、2006年の報告では、AUCとMPCの比が22以上であれば、突然変異株(耐性菌)の選抜は見られなかったとあり、MPC90を0.25μg/mLと設定した場合の耐性菌抑制の指標を見ても、理論的に耐性菌の出現を十分抑制できることが分かる。
 仮にMPC90が0.5μg/mLであったとしても、血中におけるAUCとMPCの比は59.7、肺におけるAUCとMPCの比は119.3(スライド8)であり、MPCが1.0であっても、AUCとMPCの比は耐性菌抑制の指標である22を上回っていることになる。
エビデンスに基づいた抗菌剤の選択が求められているが、ワンジェクトは理論的にも正しい選択と言える。

耐性菌残存リスクにも配慮した高用量のワンショット製剤

スライド9:なぜ今高用量1回投与が重要なのか?イメージスライド9:なぜ今高用量1回投与が重要なのか? スライド10:国内臨床試験結果イメージスライド10:国内臨床試験結果

 キノロン系抗菌剤において1回の投与量を増やすことの有効性を検証する。MICを下回った濃度で投与しても、当然、感受性菌も耐性菌も駆逐できず、治療効果は期待できない。一方、MPCを十分に上回る量で投与すれば、耐性菌が選抜されるリスクも低く、治療効果も期待できる。そしてMICとMPCの間にピークがくる量では、感受性菌は駆逐できるが耐性菌は生き残る。すなわち見た目の治療効果は期待できるかもしれないが、一方で耐性菌のリスクは高くなる。耐性菌残存リスクを考える上で、フルオロキノロン薬は中途半端な量の使用を避け、適切な投与量と可能な限り短い期間で治療を終了させることが重要。この点からもワンジェクトは理にかなった選択だと考えられる(スライド9)。

 胸膜肺炎を発症した豚に対するワンジェクトの臨床試験について紹介する。第一次選択薬投薬後、第二次選択として使用した治療歴あり群と、同居している罹患豚の治療結果から第一次選択薬は無効と判断して使用した治療歴なし群を設定した。治療効果の判断基準として全身の活力、体温、呼吸症状、食欲、発咳をスコア化し、有効性を評価した。ワンジェクト投与7日後の有効性(著効+有効)は治療あり群で80%、治療なし群においては95.8%であった。対照薬(フルオロキノロン系抗菌剤、連日投与)ではそれぞれ75%、79.2%であった(データ未記載)。また、ワンジェクトに起因する副作用はみとめられなかった。本試験よりワンジェクトの高い臨床効果と安全性が確認された(スライド10)。ワンジェクトは日々の臨床においてお役に立てるものだと確信している。

まとめ
  • バイトリル®ワンジェクト注射液(以下、ワンジェクト)は、従来のバイトリル®注射液とは異なるオリジナルの賦形剤を採用し、高用量(ERFXとして7.5mg/kg)の1回投与という、理にかなったキノロンの投与方法を実現した。
  • ワンジェクトは、従来の連日投与の労力と豚へのストレス、耐性菌残存リスクに配慮した高用量のワンショット製品である。世界標準の感受性ディスク(CLSI準拠)にて感受性モニタリングが可能である。
  • 従来のバイトリル®注射液の発売以降、エンロフロキサシンのAppに対する高い感受性は維持されており、豚胸膜肺炎に対して優れた治療効果を期待できる。また、従来の連日投与が必要なフルオロキノロン系抗菌剤と同等の、速やかかつ確実な臨床効果が得られている。
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